何度もやったことがあるというプロでない限り、リノベを考え始めた人はこれまで知らない領域に足を踏みこむことになって調べると思う、僕もそうだった。
どういう物件を買えばいいのか、情報を求め手探りで検索する人が見つけるのが、基礎と並んで「屋根を触らなくていい物件」という条件だろう。
もちろんそれはその通りだ。屋根工事自体が安くはない、同時に、屋根や外壁がそのままなら必要がない足場をかけるのに、数十万円プラスされてしまう。
でも空き家を取得するにあたり何軒も確認したが、築古で大丈夫な屋根って金属葺くらいだと思う。そういう家が上物タダ同然で安く出てくるのはみたことがない。今回屋根はスレート瓦という種類だ。安くて瓦より軽く施工が早いため古い家に多い材料で、ガルバニウム鋼板に替わられるまでは5割近いシェアを占有したとされる。寿命は30-40年、今回のように35年も経つと見るからに劣化している。このまま放置すれば風で飛ばされる、割れて落下するなど、入居者や第三者に被害が生じるかもしれない。
※日本の屋根は粘土瓦から金属製屋根材に急変 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
だからこう考えた。屋根を全く触らなくていい物件を、安く入手するのは容易ではない。壁付加断熱するならどのみち足場は必要だ。今回壁付加断熱だけして、後日また屋根のために足場をかけるのは無駄だ、スレートなら屋根更新は前提で予算を組む。
ただ、雨漏りしていると野地板や構造が傷み屋根だけではすまない、だから屋根が更新時期なのは許容するけれど、物件探しの際に雨漏りは厳しく見たい。
そういうことでこの機会にガルバニウム鋼板によるカバー工法で屋根を直した。正直屋根を良くしても、多くの場合立地と広さで決定される家賃が上がるわけではない。でも今ある空き家に手を入れる機会を得たなら、見えている未来に投資するのがストックを増やすということだと思う。
同時に破風、鼻隠しにもガルバニウムをまいた。これをすることで傷みが全然違ってくる。
昔の建物は多くの場合で破風や鼻隠しに板金がされていない。これは絶対新築でも耐久性を考慮してやったほうがいい。減額で削ってはならない代表格だ。
軒天ももう限界だった。隣家からの延焼防止は考えなくていい立地なので、新しく作ることはせず、きれいに撤去して垂木を見せる仕上げとしコストダウンした。